サットサン– category –
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石の価値 人は、自分の価値や物事の価値をちゃんと把握できていない場合も多い。あるとき、自分の才能に迷って「わたしには才能があるのでしょうか…」と質問をしてきた弟子に、師がこう答えた。「この石をバザールに持っていき、値段をつけてもらっておいで。」弟子は、最初に、野菜市場のナス売りのところに石を持っていった。ナス売りは石を手の上で転がし言った。「子供のおもちゃによさそうだ。ナス9個と取り換えてあげるよ!!」「友よ」と弟子が言った。「もう少し。ナス10個ではどうだろう?」 ナス売りは言った。「いや、これ以上はだめだ。もう市場の値段より充分、高くしたよ。それでよければ買ってあげよう」弟子は師のもとに戻り、話を伝えた。「ナス売りは、ナス9個の値段...
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お殿様のお面 昔々いつもしかめっ面をした殿様がおりました。国に財は蓄えられておりましたが、彼はずいぶん気難しくいつも眉間にシワを寄せておりました。隣国からの謀反や企てに悩まされており、人望もなく家臣たちからも嫌われておりました。殿様は長らくぐっすり眠れておらず不調が続いておりました。そんなある日、悪い夢にうなされて恐怖でガバッと飛び起きうなだれました。フラフラになった頭を抱えて、自分の人生を振り返りみじめさに気づいたのです。人生を見直そうと思いたったのですが、良いアイデアが浮かびません。そこで殿様は家臣に早急にアイデアを持ってくるように命じました。困り果てた家臣は、ある禅寺の師をこっそり訪ねました。そこの禅師は長らく殿様に仕えてい...
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倒れた大木 あるとき男が一攫千金を得たいと思い、方法を教えてもらおうと物知りと評判の師をたずねた。「ほう、お金持ちになりたいとな」「はい、さいきん世間では西の方に旅にでてるとなにやら不思議なものを手に入れてとアッというまにお金持ちになれると聞きまして。師なら何か知っているかと思いまして」「うむ、たしかに聞かなくもないが、、おぉ、そうだな、そういえば、、ちょっとこっちにおいで」師が一緒に散歩をうながし、すこし高い丘に登った「あちらを見てごらん」男が師が指した方向を見やると、大きな大木がバターンと倒れる様子が見えた。「明日、あの木の根本を見に行ってごらん」翌朝、男が木の根本を見に行くと、木こりが何百回、何千回と斧をふるった跡が見てとれ...
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