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石の価値


人は、自分の価値や物事の価値をちゃんと把握できていない場合も多い。あるとき、自分の才能に迷って「わたしには才能があるのでしょうか…」と質問をしてきた弟子に、師がこう答えた。


「この石をバザールに持っていき、値段をつけてもらっておいで。」


弟子は、最初に、野菜市場のナス売りのところに石を持っていった。ナス売りは石を手の上で転がし言った。


「子供のおもちゃによさそうだ。ナス9個と取り換えてあげるよ!!」


「友よ」と弟子が言った。「もう少し。ナス10個ではどうだろう?」 ナス売りは言った。「いや、これ以上はだめだ。もう市場の値段より充分、高くしたよ。それでよければ買ってあげよう」


弟子は師のもとに戻り、話を伝えた。


「ナス売りは、ナス9個の値段だと言いました。それ以上は1個もやれない、子供のおもちゃには高すぎるくらいだ、と言いました」


師はニコニコ笑って、言った。


「彼はナス売りだからね。次は布地商人に持っていきなさい。ナス売りより大きなお金を扱ってる布地商人のところだよ」


弟子は石を持って、市場の布地商人をたずねた。


「これを売りたいのですが、いくらになりますか?」


石を確かめながら、商人が言った。


「おぉ、きれいな石だね。これを使って高価な衣装をつくれそうだね、900ルピー払おう」


「友よ」と弟子が言った。「もう少し出せないかね。1000ルピーならどうだろう・・・」布地商人は手をふりながら言った。「これ以上は無理だね」


弟子は師のもとへ戻って報告した。


話を聞いて、師が言った。


「それじゃ、今度は市場の外の宝石商のところへ持っていってごらんなさい」


弟子は、宝石商のところへ石を持っていった。宝石商は、石を一目 見るなり即座に言った。


「こ!こんな巨大なダイヤは見たことない!10万ルピーで売ってくれないかね――?」



【いのりんコメンタリー】


前回、お殿様のお面で紹介した、サットサンでよく扱われるお話の1つです。サットサンの夜の講話だったりでは、このような真理を物語に託したお話だったりを聞いて、瞑想して、各自の部屋にもどってゆっくりする、みたいな過ごし方をします。


この物語の原型は数百年前に記録されたスーフィーの物語とも言われていますが、これはインドの覚者(悟りを開いた賢人)とされるラーマ・クリシュナ師のバージョンとのこと


さいきんの世の中で経済優先主義、忙しすぎる時間、多すぎる情報、そんな中にあっては、自分の価値や才能を見失い、迷ったり、自信を失うこともあるかもしれません。


「でも、ほんとにそうなのかな?」


そんなときに、こんなお話だったりは、ちょっと違う視点だったりに気づくきっかけを示唆してくれるような、思いを馳せさせてくれるような、そんなふうにも思えます。


***

ということで
今回は以上です、


でわ、また次回


たのしんDay〜^^

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